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市役所の門を抜けると、僕はすぐさま裏通りへと足を向けた。

幸い、この路地にはまだパトカーの姿は見えなかった。

警戒しながら市役所から離れていく途中、ふと空を見上げた時だった。小型ドローンが静かに浮遊しているのが目に入った。

そのドローンは、まるで僕の動きを追跡しているかのようだった。

僕が歩を進めるたびに、上空で微妙に位置を調整している。明らかに僕を監視していた。

やがてドローンから何かが伸びてきた。伸縮自在のスコープのような装置だった。

僕は空を仰ぎ見ながら、ドローンに向かって声を上げた。

「何を撮ってるんだ?」

間を置いて、さらに問いかけた。

「お前を操っているのは誰だ?」

しかし、ドローンからは何の返事も反応もない。ただカメラレンズが冷たく僕を捉え続けているだけだった。

「分かったよ、分かったさ」

そう呟きながら、僕はトイガンを取り出し、ドローンに照準を合わせてトリガーを引いた。

一瞬の閃光と共に、ドローンは爆発した。

僕は反射的に身をかがめ、飛び散る破片を避けた。プラスチックや金属片が周囲に散乱し、ドローンの残骸が路上に落下した。

その場には、わずかな白煙と焦げた匂いが立ち込めた。

その時、別の若い警官が現れた。


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僕は咄嗟に銃を構えたが、引き金は引かなかった。

警官は僕に気づくと、明らかに動揺した様子を見せた。彼の手にも拳銃があったが、戦う意志は感じられなかった。

僕はトイガンを構えたまま、彼に命じた。

「銃を捨てろ」

その動揺ぶりから察するに、おそらく僕のことを知っていたのだろう。彼の顔には恐怖が浮かんでいた。

警官は静かに自分の足元に拳銃を置いた。

「あんたはこれが何か知っているんだろう? そのまま、後ろを振り返らずに逃げろ」

僕は彼にトイガンを見せつけた。

「撃つぞ」

男は後ろを向かずに数歩歩いた後、急いで走り去った。

僕はしげしげとトイガンを見つめた。よほど名の知れた代物なんだな。

深呼吸をして、トイガンをリュックにしまい、警官の拳銃を拾い上げた。

暴発しないよう銃口の向きに注意しながら、あちこち調べていると、シリンダーが外れた。

シリンダーから弾を抜き取り、側溝に蹴り飛ばして下水に落とし込んだ。

リュックの中で暴発されてはたまらない。

空になった拳銃——それが今の僕には必要だった。

つづく

狩猟本能



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