サイレント・レジスタンス 24 平石との対峙 公開日:2025年10月8日 社会派フィクション 24 どこをどう歩いたのか定かではないが、その朝は街外れの歩行者用道路のトンネルの中で目覚めた。 体が鉛のように重く、手足が冷え切っていた。 外が白んでくると、トンネルを出て街中を歩いた。行き先は決めていた。平石のとこ […] 続きを読む
サイレント・レジスタンス 23 凛々子の反撃 公開日:2025年10月1日 社会派フィクション 23 それから30分ほど大きな道路を走ると、車はビル街を抜け、郊外の住宅地へとやってきた。 細い道に入り、しばらく山道を登った後、山の斜面に立ち並んだマンション群の前でSUVが止まった。 彼女が住んでいたのは、10階建 […] 続きを読む
サイレント・レジスタンス 22 手話通訳者との遭遇 公開日:2025年9月24日 社会派フィクション 22 市役所から少し離れた社会福祉センターの駐車場で、僕は身を潜めていた。 夜の冷たい空気が辺りを包み込んでいる。 センターの出入口付近で、三人の女性が立ち話をしていた。やがて二人が建物の中へ戻り、一人だけが外へと歩き […] 続きを読む
サイレント・レジスタンス 21 監視の目と逃走 公開日:2025年9月17日 社会派フィクション 21 市役所の門を抜けると、僕はすぐさま裏通りへと足を向けた。 幸い、この路地にはまだパトカーの姿は見えなかった。 警戒しながら市役所から離れていく途中、ふと空を見上げた時だった。小型ドローンが静かに浮遊しているのが目 […] 続きを読む
サイレント・レジスタンス 19 覚醒したろう者たち 公開日:2025年9月3日 社会派フィクション 19 長い間、身体の震えが止まらなかった。 逃げ続けた末に辿り着いたのは、小さな公園だった。 時刻は14時10分を少し過ぎたところ。 晴れているのに、この公園には僕以外誰もいない。 滑り台とブランコ、そしてトかイレだけが […] 続きを読む
サイレント・レジスタンス 14 静かな崩壊 公開日:2025年7月30日 社会派フィクション 14 食事スペースでは、午後のレクリエーションの準備が始まっていた。 僕が現れると、そこにいたスタッフたちの表情がぱっと明るくなった。外の騒ぎに怯えていたのだろう。僕の無事な姿を見て、明らかに安堵していた。 近くにいた女 […] 続きを読む
サイレント・レジスタンス 13 監視網 公開日:2025年7月23日 社会派フィクション 13 空に再び現れたドローンは、今度は5機だった。 その低い機械音に続いて、サイレンが響いた。3台のパトカーがパトランプを点灯させながら、猛スピードで公民館に向かって駆けつけてくる。急ブレーキの音が夜の静寂を破り、駐車場 […] 続きを読む
サイレント・レジスタンス 12 包囲 公開日:2025年7月16日 社会派フィクション 12 包囲 午後の業務が始まる時間になっても、僕はまだ屋上にいた。船橋たちのワゴン車が公民館に戻ってきたからだ。 車内にあった段ボール箱はもうなくなっていた。どこかに捨てたか、隠したのだろう。船橋と青年が車を降り、建物の […] 続きを読む
サイレント・レジスタンス 11 敵情視察 公開日:2025年7月9日 社会派フィクション 11 翌日は日勤だった。 昼食を済ませた僕は、いつものように屋上へ足を向けた。フェンスに身を預け、眼下に広がる住宅街を見下ろす。昨夜の出来事が頭から離れない。施設裏の公民館が、まるで秘密を抱えているかのように佇んでいる。 […] 続きを読む
サイレント・レジスタンス 10 消える人々 公開日:2025年7月2日 社会派フィクション 10 フリースペースに戻ると、先ほどの騒ぎが嘘のように和やかな雰囲気が広がっていた。 女子たちは皆、にこやかに寛ぎながら、手話で世間話をしていた。 ドローンが至近距離で飛んできた理由なんて、彼女たちにとってはどうでもいい […] 続きを読む