サイレント・レジスタンス 17 無言の包囲網 公開日:2025年8月20日 社会派フィクション 17 昨夜は雨が降らなかった——それだけが幸いだった。 壊れた寮舎の瓦礫をかき分けながら、僕は昨日拾ったパソコンの充電コードを探していた。 コンクリートの破片や歪んだ鉄骨が足元に散らばり、一歩踏み外せば怪我をしそうだった […] 続きを読む
サイレント・レジスタンス 16 謎の銃と手話放送 公開日:2025年8月13日 社会派フィクション 16 僕たちは、アイドラゴンの番組にあの二人が映っていた理由について議論を重ねた。 五人全員が確認していたのだから、見間違いではない。しかし、なぜ二人があの場所にいたのかは、依然として謎のままだった。 施設で一夜を過ごし […] 続きを読む
サイレント・レジスタンス 14 静かな崩壊 公開日:2025年7月30日 社会派フィクション 14 食事スペースでは、午後のレクリエーションの準備が始まっていた。 僕が現れると、そこにいたスタッフたちの表情がぱっと明るくなった。外の騒ぎに怯えていたのだろう。僕の無事な姿を見て、明らかに安堵していた。 近くにいた女 […] 続きを読む
サイレント・レジスタンス 13 監視網 公開日:2025年7月23日 社会派フィクション 13 空に再び現れたドローンは、今度は5機だった。 その低い機械音に続いて、サイレンが響いた。3台のパトカーがパトランプを点灯させながら、猛スピードで公民館に向かって駆けつけてくる。急ブレーキの音が夜の静寂を破り、駐車場 […] 続きを読む
サイレント・レジスタンス 12 包囲 公開日:2025年7月16日 社会派フィクション 12 包囲 午後の業務が始まる時間になっても、僕はまだ屋上にいた。船橋たちのワゴン車が公民館に戻ってきたからだ。 車内にあった段ボール箱はもうなくなっていた。どこかに捨てたか、隠したのだろう。船橋と青年が車を降り、建物の […] 続きを読む
サイレント・レジスタンス 11 敵情視察 公開日:2025年7月9日 社会派フィクション 11 翌日は日勤だった。 昼食を済ませた僕は、いつものように屋上へ足を向けた。フェンスに身を預け、眼下に広がる住宅街を見下ろす。昨夜の出来事が頭から離れない。施設裏の公民館が、まるで秘密を抱えているかのように佇んでいる。 […] 続きを読む
サイレント・レジスタンス 10 消える人々 公開日:2025年7月2日 社会派フィクション 10 フリースペースに戻ると、先ほどの騒ぎが嘘のように和やかな雰囲気が広がっていた。 女子たちは皆、にこやかに寛ぎながら、手話で世間話をしていた。 ドローンが至近距離で飛んできた理由なんて、彼女たちにとってはどうでもいい […] 続きを読む
サイレント・レジスタンス 9 誰かが見ている。 公開日:2025年6月25日 社会派フィクション 9 通路に出た瞬間、背後のドアが閉まりかけるより早く、誰かに腕を掴まれた。 見知らぬ若者だった。僕と同じくらいの背丈で、目は鋭く、動きは早かった。 彼は焦るように手話を使って尋ねてきた。 〈ここで何をしていた〉 威嚇する […] 続きを読む
サイレント・レジスタンス 8 覗き穴の向こう側 公開日:2025年6月18日 社会派フィクション 8 公民館のドアは、あっけないほど簡単に開いた。 薄闇の中に足を踏み入れると、最初の部屋は死んだように静まりかえっていた。船橋の姿はどこにもない。 図書室らしき部屋だった。壁に沿って並んだ書架と、中央に置かれた大きなテー […] 続きを読む
サイレント・レジスタンス 7 静寂の証人 公開日:2025年6月11日 社会派フィクション 7 翌朝、窓から差し込む陽光が僕の頬を撫でた。久しぶりに気持ちの良い朝だった。 寮の食堂で簡素な朝食を済ませると、体を動かしたくなって近所の公園へ足を向けた。 緑陰の小径をゆっくりと歩き、ベンチに腰を下ろす。 ジャングル […] 続きを読む