タントは、アラアラ島を守るために、占い師ヨシュアの言葉を反芻しました。

「アラアラ島が嵐で沈むかもしれない…」

生真面目なタントは、眠れない夜が続きました。

ヨシュアがタントに、そしてタントが国王に、島が沈没する預言を伝えたその翌日、島中に不安の波が広がりました。

その夜、タントは港の見張り台に立っていました。空は黒い雲に覆われ、風が次第に強くなっています。

彼は海の向こうに不気味な稲妻が光るのを見て、胸がざわつきました。

突然、突風が彼を襲い、見張り台がぐらりと揺れました。タントは踏ん張りきれず、波しぶきの中に投げ出されてしまいます。

海水が耳に入り、激しい風の音が鼓膜を圧迫しました。

そして、次の瞬間、微かに聞こえていた、耳に響く音がすべて消えました。

「何と言うことだ…全く聞こえない!」

タントは驚きながらも必死で泳ぎ、岸にたどり着きました。

完全に耳が聴こえない状態に動揺しつつも、今は誰かにそのことを伝えるべきではないと思いました。

タントは自分が今やるべきことは分かっていました。

その夜、国王は城の大広間に重臣たちを集めました。

長いテーブルの上には、大きな島の地図と海図が広げられています。

窓の外では風が強まり、木々がざわざわと揺れていました。

タントはみんなの議論を目で追いながら、話し合いが進まないことに焦りを感じていました。

誰かが話しかけても、もう声は聴こえません。

しかし、それでも彼の目には決意の光が宿っていました。

タントはペンと紙を手に取り、大きな字で提案を書きました。

「全員を避難させる大きな船を作りましょう!」

重臣たちは驚きながらタントの文字を読みます。

「そんな大船を短期間で作れるのか?」

「材料はどうする?」

疑問の声が飛び交いますが、タントは立ち上がり、身振り手振りで強く訴えました。

全く聞こえなくなったことを打ち明けることはしませんでした。

今はそれどころではないのです。

彼の必死な姿を見た国王は、タントの手を握り、力強く頷きました。

「よし、タントに任せよう。全力で協力する」

翌朝、タントは広場に立ち、職人や漁師たちに文字とジェスチャーで訴えかけました。

タントと意思疎通するため、仲間たちは声を張り上げます。

タントは彼らの口元を見て、話を理解しました。


「みんな!嵐が来る前に、全員を乗せられる大きな船を作るぞ!時間は少ない。でも、力を合わせればきっとできる!」

人々は一瞬驚きましたが、タントの熱意と行動力に心を動かされ、「やろう!」「タントに指揮を任せよう!」という声が次第に広がりました。

作業が進む中、タントはひどい耳鳴りに悩まされながらも、全身で身振り手振りを表現し、作業員たちとコミュニケーションを取り続けました。

紙に指示を書いたり、身振りで問題点を伝えたりしながら、一歩ずつ船の完成に近づいていきます。

しかし、嵐は刻一刻と迫り、風雨が作業を妨げます。

木を削りながら、誰かが叫んだ。

「それでも、諦めるわけにはいかないんだ!」:

全くその通りだった。

みんなが不安に押しつぶされそうになる中、タントは手を広げ、力強く指を指して船を指しました。

「『絶対に諦めない!』」

その目はすべてを語っていました。

三週間後、ついに大きな船が完成しました。

空は真っ黒な雲に覆われ、遠くの海で嵐がうねり始めています。

タントはみんなに向かって紙に書き、見せました。

「全員、船に乗れ!」

島民たちは急いで船に乗り込みます。

最後にタントが船に飛び乗ると、船は大きな帆を広げ、力強く海に漕ぎ出しました。

嵐の中、船は大きく揺れましたが、タントは仲間たちと力を合わせて船を操ります。

逆境にもかかわらず、彼は視覚を頼りに指揮をとり続けました。

そして嵐が訪れたようです。空が曇り、波が荒れ出しました。

みんなの目には不安の色が広がっていました。

「タント、嵐だ!本当にでかい嵐がやってきた」

島民たちは仲間や家族に抱きつき、ため息をもらしました。

こうして、占い師ヨシュアの預言は、不運にも的中してしまったのです。

 

つづく

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