「ドラゴ・ナラティブ」へようこそ 更新日:2025年7月9日 公開日:2023年6月8日 児童小説 このサイトはhayaが運営する、思索的な社会派フィクションと近未来SFを中心とした創作小説のサイトです。現代社会への洞察と人間の本質を描いた物語を通して、読者の皆様に新たな視点と感動をお届けします。 最近掲載中の作品 目 […] 続きを読む
サイレント・レジスタンス 11 敵情視察 公開日:2025年7月9日 社会派フィクション 11 翌日は日勤だった。 昼食を済ませた僕は、いつものように屋上へ足を向けた。フェンスに身を預け、眼下に広がる住宅街を見下ろす。昨夜の出来事が頭から離れない。施設裏の公民館が、まるで秘密を抱えているかのように佇んでいる。 […] 続きを読む
サイレント・レジスタンス 10 消える人々 公開日:2025年7月2日 社会派フィクション 10 フリースペースに戻ると、先ほどの騒ぎが嘘のように和やかな雰囲気が広がっていた。 女子たちは皆、にこやかに寛ぎながら、手話で世間話をしていた。 ドローンが至近距離で飛んできた理由なんて、彼女たちにとってはどうでもいい […] 続きを読む
サイレント・レジスタンス 9 誰かが見ている。 公開日:2025年6月25日 社会派フィクション 9 通路に出た瞬間、背後のドアが閉まりかけるより早く、誰かに腕を掴まれた。 見知らぬ若者だった。僕と同じくらいの背丈で、目は鋭く、動きは早かった。 彼は焦るように手話を使って尋ねてきた。 〈ここで何をしていた〉 威嚇する […] 続きを読む
サイレント・レジスタンス 8 覗き穴の向こう側 公開日:2025年6月18日 社会派フィクション 8 公民館のドアは、あっけないほど簡単に開いた。 薄闇の中に足を踏み入れると、最初の部屋は死んだように静まりかえっていた。船橋の姿はどこにもない。 図書室らしき部屋だった。壁に沿って並んだ書架と、中央に置かれた大きなテー […] 続きを読む
サイレント・レジスタンス 7 静寂の証人 公開日:2025年6月11日 社会派フィクション 7 翌朝、窓から差し込む陽光が僕の頬を撫でた。久しぶりに気持ちの良い朝だった。 寮の食堂で簡素な朝食を済ませると、体を動かしたくなって近所の公園へ足を向けた。 緑陰の小径をゆっくりと歩き、ベンチに腰を下ろす。 ジャングル […] 続きを読む
サイレント・レジスタンス 6 混線する夜 公開日:2025年6月4日 社会派フィクション 6 混線する夜 職員寮の住民たちは夜になると、テレビの置かれたフリースペースでくつろぐのが日課だった。 この寮のテレビは少し変わっている。モニターは普通の大型液晶ディスプレイだが、放送内容が独特だった。やたらと手話が多い […] 続きを読む
サイレント・レジスタンス 5 介護の日常 公開日:2025年5月28日 社会派フィクション 5 急いで決めた転職だったが、新しい職場の就業環境は思っていたよりもきちんとしていることがわかってきた。 高層ビルに囲まれた静かな公園エリアに、その介護施設はひっそりと佇んでいる。 入居者は約百人。自力歩行ができる高齢者 […] 続きを読む
サイレント・レジスタンス 4 手話が紡ぐ壊れた夢 公開日:2025年5月21日 社会派フィクション 4 僕は新しい職場、介護施設で働き始めた。 プログラマーの夢を半ば諦め、住んでいたアパートを引き払い、この施設の職員寮へと引っ越してきたのだ。 ここは家賃が周辺相場の半額以下で、食費を払えば安く食事も提供してもらえる。 […] 続きを読む
サイレント・レジスタンス 3 手のひらの言葉 更新日:2025年5月17日 公開日:2025年5月14日 社会派フィクション 3 施設の中は夕食の真っ最中だった。 大きなテーブルを囲むお年寄りたち。懐かしい光景だけれど、僕はこの日常に飽き飽きして辞めてしまった人間だった。 空の食器を抱えたジャージ姿の女性スタッフとすれ違い、僕は軽く会釈する。 […] 続きを読む
サイレント・レジスタンス 2 夕暮れの選択肢 更新日:2025年5月17日 公開日:2025年5月7日 社会派フィクション 2 ハローワークを出ると、僕はビル街をぶらぶらと歩き始めた。 近くには、すぐに面接してくれる老人ホームがあるらしい。一時間後に担当者と会う予定だった。 空はどんよりと曇っている。この街に来て、もう三年になる。 パソコンが […] 続きを読む