ネクロバズとむくつけき勇者たち 30 老いらくの恋と老婆心 公開日:2024年11月6日 児童小説 30 オットーとケンジは、研究所の事務室のデスクでコーヒーを飲んでいた。 オットーは毎年、年明けに研究所でコーヒーを飲むことにしている。今年はケンジがその相手だった。少し疲れた様子のオットーだったが、ジョークを連発してい […] 続きを読む
ネクロバズとむくつけき勇者たち 29 真実は蜘蛛の巣だらけ 公開日:2024年10月30日 児童小説 29 凍てつく風が吹き抜けるウインドベルのK4地区。 年が明けても、この街の喧騒は変わらない。 リプリーにとっては日常かもしれないが、オットーとケンジの年明けは、まるで嵐の中を走り抜けるような慌ただしさだった。 チェイン […] 続きを読む
ネクロバズとむくつけき勇者たち 28 追い詰められた男 更新日:2024年10月24日 公開日:2024年10月23日 児童小説 28 パルチノングループの取締役社長は、二階事務所に来ていた。そこは第五セクション会議室だった。 社長は金ラメの入ったスーツを着ていて、小太りの神経質そうな顔をしている。 屈強な側近の男が一人いた。金ラメのボディガードに […] 続きを読む
ネクロバズとむくつけき勇者たち 27 M地区 公開日:2024年10月16日 児童小説 27 パルチノン食品工業。かつてウィンドベルに進出し、その後撤退した企業だ。 ウィンドベルの前市長ハーバーの誘致で、山間部に工場を建設。だが、3年後、工場の廃液から有害物質が検出され、当時のロバート市長は引責辞任に追い込 […] 続きを読む
ネクロバズとむくつけき勇者たち 26 冷笑の裏側 公開日:2024年10月9日 児童小説 26 病院の廊下に、ぎこちない空気が漂っていた。 リプリー警部補は、まるで敵地に乗り込むかのような険しい表情で歩みを進めていた。 彼の後ろを、若き研究助手のケンジが慌てて追いかける。 病院という場所は、その人の心のあり方 […] 続きを読む
ネクロバズとむくつけき勇者たち 25 リプリー警部補の嘘だらけな朝 公開日:2024年10月2日 児童小説 25 翌朝、目が覚めると、ケンジはすぐにベッドから降りた。 窓の光りが、まだ焦点の定まらない視線をいたずらにもてあそんだ。 カーテンを開けてから、リプリーの部屋へ行ってみた。 リプリーの部屋は、応答がなかった。 「そのお […] 続きを読む
ネクロバズとむくつけき勇者たち 24 リンダからの手紙 公開日:2024年9月25日 児童小説 24 ケンジは昼下がりに、ホテルから外出して、リンダのアパートへ立ち寄った。 別に用事がなくても、なんとなく訪れてしまう状況というものが、人間にはある。 本当はさっさとチェックアウトしてウインドベルに帰りたかったが、あの […] 続きを読む
ネクロバズとむくつけき勇者たち 23 泥のように眠る 公開日:2024年9月18日 児童小説 23 リプリーが国定公園から病院へ引き返した時、すでに日暮れていた。 病棟の各棟は、街灯の中にぼんやりとたたずんでいた。 スバルは外来駐車場にとめてあった。 隣の白いセダンと比べると、リプリーの車は、まるで爆撃をかいくぐ […] 続きを読む
ネクロバズとむくつけき勇者たち 22 血塗られた決意 公開日:2024年9月11日 児童小説 22 スバルにたどり着いて街へ引き返す時、あの忌まわしい群れが、道端で餌を啄んでいる光景に出食わした。 ヘッドライトが照らし出す煌々とした道路に、不吉な影が落ちていた。 腐臭が鼻を突き、リプリーは思わず顔をしかめた。 ま […] 続きを読む
ネクロバズとむくつけき勇者たち 21 パルチノンの置き土産 公開日:2024年9月4日 児童小説 21 ほとんどのハエが飛び立ち、その姿が見えなくなった後、リプリーは滝壺の近くに留まっている一匹を狙い定めた。 そのハエは片方の羽根を折っていて、飛べずにいた。 近づくと、ハエは口から管状のものを突き出した。 「こいつで […] 続きを読む