サイレント・レジスタンス 12 包囲 公開日:2025年7月16日 社会派フィクション 12 包囲 午後の業務が始まる時間になっても、僕はまだ屋上にいた。船橋たちのワゴン車が公民館に戻ってきたからだ。 車内にあった段ボール箱はもうなくなっていた。どこかに捨てたか、隠したのだろう。船橋と青年が車を降り、建物の […] 続きを読む
サイレント・レジスタンス 11 敵情視察 公開日:2025年7月9日 社会派フィクション 11 翌日は日勤だった。 昼食を済ませた僕は、いつものように屋上へ足を向けた。フェンスに身を預け、眼下に広がる住宅街を見下ろす。昨夜の出来事が頭から離れない。施設裏の公民館が、まるで秘密を抱えているかのように佇んでいる。 […] 続きを読む
サイレント・レジスタンス 7 静寂の証人 公開日:2025年6月11日 社会派フィクション 7 翌朝、窓から差し込む陽光が僕の頬を撫でた。久しぶりに気持ちの良い朝だった。 寮の食堂で簡素な朝食を済ませると、体を動かしたくなって近所の公園へ足を向けた。 緑陰の小径をゆっくりと歩き、ベンチに腰を下ろす。 ジャングル […] 続きを読む
サイレント・レジスタンス 6 混線する夜 公開日:2025年6月4日 社会派フィクション 6 混線する夜 職員寮の住民たちは夜になると、テレビの置かれたフリースペースでくつろぐのが日課だった。 この寮のテレビは少し変わっている。モニターは普通の大型液晶ディスプレイだが、放送内容が独特だった。やたらと手話が多い […] 続きを読む
サイレント・レジスタンス 3 手のひらの言葉 更新日:2025年5月17日 公開日:2025年5月14日 社会派フィクション 3 施設の中は夕食の真っ最中だった。 大きなテーブルを囲むお年寄りたち。懐かしい光景だけれど、僕はこの日常に飽き飽きして辞めてしまった人間だった。 空の食器を抱えたジャージ姿の女性スタッフとすれ違い、僕は軽く会釈する。 […] 続きを読む
サイレント・レジスタンス 2 夕暮れの選択肢 更新日:2025年5月17日 公開日:2025年5月7日 社会派フィクション 2 ハローワークを出ると、僕はビル街をぶらぶらと歩き始めた。 近くには、すぐに面接してくれる老人ホームがあるらしい。一時間後に担当者と会う予定だった。 空はどんよりと曇っている。この街に来て、もう三年になる。 パソコンが […] 続きを読む
サイレント・レジスタンス 1 音のない街角で 更新日:2025年5月17日 公開日:2025年4月30日 社会派フィクション 1 灰色のコンクリート壁が道の両側に伸び、無秩序な落書きがその表面を覆っていた。 壁に挟まれた細い道の先で、大きなトンネルが口を開けている。一台の大型トレーラーがエンジンを唸らせながら、ゆっくりとその暗がりに吸い込まれて […] 続きを読む
サイレント・レジスタンス 更新日:2025年7月17日 公開日:2025年4月30日 社会派フィクション あらすじ 耳の不自由な青年が描く、異星からの侵略に立ち向かう静かな戦い。 プログラマーになる夢を胸に、熊本から福岡へ移り住んだ聴覚障がいを持つ主人公。しかし現実は厳しく、ハローワークで紹介されたのは介護の仕事だった。本意 […] 続きを読む